2021年 3月 の投稿一覧

試合開始直後は相手を知ること

冒頭10分は相手を観察せよ

サッカーにおける冒頭10分はプレイヤー、取り分けボランチにとっては試合時間中、
最も重要な時間帯だといっても過言ではない。

この10分間で相手をよく「観察」するのだ。

ボランチが相手チームを観察し、
相手のコンディションの状態、誰がキーマンか、
どのような個性のチームかということを情報収集し、
その情報をもとに素早く判断し、チームを正しく導いていくことが重要になる。

何度も繰り返すようだが、ボランチは攻守の要であり、司令塔であり、
ディフェンスでも味方を動かす、戦国時代でいう将軍だ。

プロのチームならスコアラーなどの偵察部隊がいて、
スカウティングレポートなどを使い、厳しい目で相手を分析してくれる。
だが、小学校のクラブレベル、中学校・高校の部活レベルだと、
相当な強豪チームでない限り、それは難しいだろう。

仮にそれができたとしても、当日ピッチレベルで肌で感じるもの比べたら、
データなど参考にならない場合も多々ある。

ピッチでしか感じられないことを、ボランチが観察し、判断し、チーム全体に伝えないといけない。

具体的に何を見るか

まずはシステムの観察だ。

相手の各ポジションに対し、自チーム各選手のマークがずれないかどうか。
敵チーム4-4-2システムに対し、こちらは4-5-1。
まず、中盤の数がちがう。それにより数的不利・有利が生まれないよう、
味方にマークの確認、受け渡しをどうするかなどしておく必要があるだろう。

次に相手の攻撃パターンどうかということ。

中央を主に突破してくるのか、サイドからのオーバーラップは積極的か、
中盤のキーマンは誰なのかなど意識して見ておく必要がある。
それを知るだけで守備のしやすさは段違いだ。
基本守備はゴール正面などの中央重視だが、サイドをつぶすことによって、
相手の攻撃リズムを崩せるのであれば、積極的にアプローチしていくべきだろう。

最後に相手の守備が開始はどこかということ。

相手フォワードが積極的にプレスしてくるか、全体的に様子見をしていて引き気味なのかなど
守備の特性を見極める。
序盤から、相手フォワードのプレスが積極的な場合は球離れを早くする、
キーパーや最終ラインへの不用意なバックパスは控えようなど、
味方にアドバイスができる。

ボランチのポジションからは全体が良く見える。
ボールのみ集中するのではなく、相手のポジションや特性にも目を光らせることで、
ゲーム全体を支配することができる。

前線へのパスをカットし攻撃につなげる

前線へのくさびをカットせよ

ボランチはポジション上、チーム内でもオフェンス能力の高い、フォワードやトップ下の選手とマッチアップすることが多い。
そういった選手はいったん、ボールをキープするとなかなかボールを奪うことは難しい。
「ため」をつくられている間に他の選手が前線にあがり、ディフェンス側には不利な状況となってくる。

できれば、ボールをに触れさせる前にくさびのパスをカットしたいところだ。
そうすれば、味方のカウンターへの呼び水とできるし、攻撃に勢いがつく。

くさびのパスをカットするには1にも2にも、パスの出し手、パサーの動向を先読みすることが重要だ。
パサーがどこを見ているか、いつ出してくるか。
これを読み間違えるとパスの出し手にも受け手にも対応されてしまう。

パスが出るまではカットしようという色気は出さず、パスモーションに入った瞬間前に出る。
そのときにパサーの目も確認する。
こちらを察知されていると直前でパスコースを変えてくる可能性がある。
熟練されたパサーだとこれがうまい。
逆にこちらを見ていないとすれば、パスコースは変えないのでカットを狙いやすい。
これも駆け引きだ。

そしてマイボールにした後も重要だ。すばやく前線ないし、サイドへ展開しカウンターへつなげる。

常に周りの状況を確認し、マイボールにした場合どう展開させるのか、
誰にパスを出せばスムーズに攻撃が展開されるかということに想像力を働かせよう。

できるボランチは体だけでなく、頭もいつもフル回転させているのだ。

くさびのパスをカットできなかった場合

くさびのパスをカットしてカウンターにつなげる話をしたが、
もしできなかった場合の対応も説明しよう。

まずはパスの受け手側に前を向かせないこと。これだけはさせてはいけない。
前を向かせてドリブルやターンで入れ替わられでもしたら大ピンチだ。

ペナルティエリア内・付近では少し状況がかわる。
シュートを打つ可能性が極限まで高まっているからだ。

自らがシュートを打ってくる場合はまず利き足側をブロックする。
利き足でない場合は、シュートの精度も威力も半減するケースが多いので、キーパーのセーブにも期待ができる。
シュートを打たれた場合ブロックをするが、できるだけ足ではなく、体でブロックするイメージで。
それでも足に当たるケースが多いが、体でブロックするつもりで対応すると、正面でぶつかるので、前にボールが転がる可能性が上がる。

ペナルティエリア内ではボランチでもディフェンダーのように体を張ることは日常茶飯事だ。
シュートレンジ以外ではまでは頭をフル回転させ、ピンチを未然に防ぐクレバーさが必要だが、
危険水域になってくれば、泥臭い作業もきっちりとやる。

それがボランチのディフェンスといえる。