2021年 2月 の投稿一覧

ドリブラーへのタイプ別対処法

フィジカルドリブラーには正面コースをつぶす

「ドリブラー」と一言にいっても様々タイプがあり、対処方法も変わってくる。
フィジカルコンタクトが強い、スピードが持ち味、テクニックで相手を翻弄…
それぞれ対応できるようにしておくことが必要だ。

まずはフィジカルでごりごり押してくる選手。つまりパワー自慢のドリブラーへの対処法。
そんじょそこらのタックルなどびくともしない、猪突猛進的なタイプだ。

こういった選手の場合は、まず正面のコースはめっぽう強いので開けないようにする。
正面のコースを消しながら、サイドへ追い込んでいく。
相手が突進をやめ、後ろを向いたり、横に逃げたりすればディフェンス側の勝利だ。

やってはいけないのは体を近くまで寄せること。
後ろを向いた状態だと、ディフェンス側の体を利用してターンし、
強引に抜きにかかられてしまう可能性があるので注意。

足の速い選手には腕をうまく使え

スピードスターのような足の速いタイプのドリブラー。
ディフェンス側にとっては最も恐れるタイプの選手だろう。

ディフェンス側の反応が少しでも遅れると、前にボールをポーンと出し、
脚力での勝負に持ち込もうとする。
相手も自分の長所を最大限に生かそうとするから当然の方法だ。

足の速さが劣っていると追い付きようがない。

そうならないようにするには、そもそも自分の後ろに行かせない、
ボールを出させないのがポイントだ。

まず縦突破を防ぐために、相手との間合いをいつもより多めにとること。
通常1.5mくらいなら2m程度。30%増しくらいがいいだろう。

相手がボールを前に蹴りだしたら腕や肩をぶつけ、スピードを落とさせる。
そして、腕を使って進行の邪魔をする。
手で腕やユニフォームを引っ張ったり、いかにもな進路妨害はファウルを取られる恐れので注意だ。

余談だが「アルゼンチンのサッカーは腕でやる」という話を聞いたことがあるだろうか?
もちろんサッカーは足、胸、頭やるのが主だが、プロのトップレベルの選手は腕をうまく使っている。
相手にいいプレーをさせないよう腕を工夫して使う。

相手のドリブルの妨害、ディフェンスにいい場所を取られないようにするため、
こぼれ球の競り合い時など。

もちろん、あからさまにではなく「うまく」使うのだ。
そのへんがサッカー大国アルゼンチンの強さの秘密なのかもしれない。

テクニックタイプには「ボール」をよく見ること

テクニシャンタイプのドリブラーについては、
相手のフェイントなど技巧に惑わされないようにすることが重要だ。
相手の狙いはこちらが動き出した方向とは逆の動きをし、入れ替わることだ。

そのためにフェイントを入れたり、足を前に出したりと小細工をしてくる。
しっかりと自分の間合いで勝負できれば大丈夫。

相手の体や足の動きに惑わされることなく、しっかりとボールを見る。
ボールを触るときがチャンス。足を出していこう。

ボールのみに集中することが重要だ。

1対1でのボールの奪い方

優先順位1位は「足で奪う」

まず、優先すべきは足を出してボールを奪えるか。
これができれば、ディフェンス側にとって非常に有意義だ。

なぜなら相手と場所を入れ替わる形になるので、ボールを奪った時点で前を向ける。
即、次のプレーを実行できることは自チームにとってメリットとなり、
大きなチャンスに繋げることもできる。

ポイントは相手の進行方向に対し、正面から止めに行くこと。
足だけをだして取りにいくと、相手のドリブルスピードに負けてしまうことが多いうえ、
足を引っ掛けてディフェンスファウルになってしまう可能性があるためおすすめできない。

スライディングの多用は危険

相手とボールの間に体を滑り込ませて奪う方法もある。
これは相手のボールコントロールミスがあったりの場合有効だが、
ボールを奪うのも重要だが、しっかりと自分の体で相手の体をブロックすることが大事だ。

非常に有効なテクニックだが、ボールを奪った時点では相手に背を向けている状態になるので、
即座に次のプレーに移れないことがデメリットだ。
前を向くやフリーの味方にボールを預けるなどのアクションが必要になる。

あと、スライディング。
相手に抜かれかかったときの最終手段だ。
もちろん、足ではなく、ボールに向かって滑り込む。
ボールに足を当てるのではなく、足で抱え込むような形にできれば
マイボールにすることができる。

見た目は派手だが、体が倒れこむので次のプレーへの時間もかかるし、
ボールを奪えないと味方が数的不利な状況となってしまう。
相手の足に当ててしまうとファウル、最悪の場合カードをもらってしまう。
非常にリスキーな判断なので、使い方は慎重に。

最終的にボールを奪えたとしても、それに満足してはいけない。
スライディングという判断をせずとも、ポジショニングやフェイントを多用するなど、
修正ポイントがあったのではと、自問自答し続けていくことがディフェンス技術の向上につながる。

状況に応じた間合い

1対1での間合い

間合い

1対1でのディフェンスの場合、まずはドリブルで抜かれないことが第一だ。
完全に抜き去られてしまうと相手に数的有利な時間を作ってしまうからだ。
前を向かれるのも具合が悪い。

抜かれそうになっても抵抗できるくらいの間合いがいい。
ただ、その間合いは人によって変わってくる。
足があまり速くない場合は、間合いは多めに取ろう。
そうすることで、例えば、ワンツーなどで背後をつかれてもツーの受けてに対し、
体を割り込ませることが可能だ。
スピードに自信があれば、間合いを詰めてもいい。

基本の間合いはボールに足が届く、2m前後がいい。

相手の特徴で間合いも変わる

間合いは自分の能力(足の速さ、リーチなど)によって変えること
は前述したが、
これは相手の能力によっても変わってくる。

相手の足が速い、ドリブル突破が多い場合は間合いをあけてドリブルに備える、
パスが得意、ロングシュートをよく打つなどの場合は間合いを詰めて出どころを防ぐなど、臨機応変な対応が必要だ。

ドリブル突破が得意な選手に対しては注意が必要だ。
うかつに飛び込んであっさりと抜かれるのだけは避けたい。
相手も自分をみて、何をしてくるか観察している。
先に足を出すと、抜くタイミングを与えてしまう。

まずは相手に最初にアクションさせること。
それには守る側から左右に体を揺らしたり、あえて抜くスペースをつくって誘ったりと
フェイントをかけていくのもいいだろう。

ボールが動いたらすかさず奪いに行く。
当たり前だが、ボールが足から離れているうちはコントロールはできない。
少し強引にでもチャンスをものをしよう。

マンツーマンディフェンスの基本

マンツーマンの基本姿勢

ボランチにとってマンツーマンで守る機会は非常に多い。
ボランチは最終ラインのフィルター役だ。

1対1に強ければ強いほど、最終ラインの負担が少なくなる。
それによって点を取られるリスクも当然少なくなる。

サッカーは1点の重みが大きいスポーツだ。危険な芽を1つまた1つ摘むことで
勝利への可能性を大きくなる。

ここではマンツーマンで守る基本姿勢について話をする。
まず、相手に対し45度傾斜で向くこと。
足は前後にし(利き足にこだわらなくてもいい)、少し開く。

これは股の間を通されることを減らし、もし抜かれた時も振り返って追い付きやすくするためだ。
つまりすでに走る姿勢になっているので、対応が楽だし、速い。

基本姿勢のポイント

体重は80%くらい後ろ重心。
その方がいろんなアクションやリアクションに対し体全体のバランスを保ちやすいし、
前述したように、抜かれてもターンしての対応がしやすい。

体の向け方は特に決まりはないが、自分に合った方向に向ければいい。
基本的には利き足で対応する形がやりやすい人が多いと思うが、
そうじゃない人もいる。
自分にあったやり方を模索してほしい。

気づいていない人が多いが、ディフェンスにも好きなサイドと苦手なサイドがある。
それは経験を増やす中でわかってくると思う。

空中戦を制し流れをつかむ

落下地点を予測せよ

空中戦と言えば、フォワードやディフェンダーによるペナルティエリア内でのボール争奪戦を想像する人は多いだろう。
もちろん、ボランチもそれに参戦するケースは多々ある。

だが、最もボランチにとって多いのが、相手ゴールキーパーからのゴールキックの競り合いだ。
競り合いに勝つことで、味方がこぼれ球を拾いやすくなり、それが直接、自チームの攻撃回数アップにつながる。

競り合いに勝つにはまず、ゴールキックがどこに落ちてくるか予測する必要がある。
これが意外と苦手な選手が多い(ヘディングが嫌いで敬遠している人も多いが)。
こういった人はおそらく、野球の外野フライを取るのもおそらく苦手だ。

外野フライを取るのがうまい人は、バットにボールが当たった瞬間、いろいろな情報をキャッチアップしているからに他ならない。
打球音や打球の角度、打球の速度などの瞬間の情報プラス長年の経験。
それらの情報を総合して、ボールの角度落下地点を予測し、いとも簡単に(周りから見てる分には)ボールを取っている。

ゴールキックなどの浮き球に対して苦手意識のある人は、前述したような外野フライを取る練習をするといい。
自分で高く投げたボールを取るでもいい。別にグローブ買う必要はない。素手で構わない。
軟式ボールなど硬いボールだと指にケガをする可能性があるので、ゴムボールなどやわらかいボールで大丈夫。
落下地点を予測する訓練なのだからうまくキャッチできなくても大丈夫だ。
反復して練習してみよう。

完全勝利にこだわらない

ペナルティエリア内でのせめぎ合いやゴールキックやスローインなどの浮き球の奪い合いなど、空中戦は様々なケースで起こる。
いかんせん、ジャンプ力などの身体能力や身長などの体格により、残酷なほど差が出るものだ。
それは日々の練習で、完璧にカバーできることではない。レベルが高いステージほどそう感じる。

だが、前述した落下地点の予測の早さ、正確さで勝率を高めることはできる。
それに空中戦においてはボール奪取や競り合いに勝つ(ディフェンスで言えばクリア)など、
言わば「完全勝利」を求める必要は必ずしもないということだ。

落下地点に相手より素早く入り、高さで負けたとしても、いいポジショニングで体を寄せることで、
質の高いヘディングプレーをさせなければいい。
そうすれば、ペナルティエリア内のヘディングシュートだとしてもキーパーを出し抜くほどの勢いは出ない。
パスでも中途半端なものになれば、味方がこぼれ球を拾ってくれるかもしれない。

これもチーム全体でこぼれ球に対する意識を強めることが結果的に重要になってくるということである。

こぼれ球は試合の勝敗を左右する

こぼれ球を拾い、攻撃につなげる

こぼれ球を拾えるかどうか。
大したことのないように聞こえるかもしれないが、試合全体においてこれは大きなポイントだ。

例えば、相手のトラップミス、選手同士の競り合い、パスが選手の足にあたって方向が変わる…
このボールを拾うことができれば、ピンチを脱出した上に、場合によってはカウンターを仕掛ける大チャンスとなる。

こぼれ球を拾う役割はチーム全員にあるが、ディフェンスラインのフィルター役である、ボランチがそれを担う頻度は高い。
相手、味方の攻撃問わず、ロングボールやセンタリングからのこぼれ球を拾うことがポジションの位置関係上、確率が高いからだ。

ボランチがこぼれ球への反応が悪いと確かにリズムは出ない。
しかしながら、それで結果的にチーム全体のプレイクオリティが落ちたとしてもボランチに責任があるとは言えない。
前述したとおり、こぼれ球を拾うのは「チーム全員」だからだ。

こぼれ球を拾うには全体のポジションをコンパクトにしなければならない。
ディフェンスラインを押し上げ、空いたスペースを極力なくす。
それにより、各選手が相手より一瞬早くボールにトライできる。

どんなにボランチが優秀でもディフェンスラインとの間が大きく開いていたら、カバーするのは不可能だ。

こぼれ球を拾うか「確率」を上げる

味方選手の積極的な守備関与が重要なのは先に述べたとおりだが、
それ以外にこぼれ球を拾う確率が上がる方法がある。

それは味方選手の特徴や動きから予測し、うまく利用することだ。
プレスのうまい選手が寄せいった場合は、抜かれることはないならば、どこかにパスをするはず、そのミスパスを狙う。
他にも空中戦に強いディフェンダーがいて、かなりヘディングが強い選手がいるなら、
ディフェンスラインから少し離れた場所に位置すれば、こぼれ球近くにポジショニングできる。
ヘディングが弱い場合はその逆。ディフェンスライン近くにポジショニングする。

もちろん確率を上げるだけで、絶対にこぼれ球をとれる保証はないが、少しでもピンチを防ぎ、チャンスの回数を増やす意味ではやってみる価値は大いにある。

トラップした瞬間を狙え

トラップ=隙ができる

ボールを受けた瞬間、相手は顔を下げてしまう。
つまり、周りを見ていない時間が発生することになる。
どんな技量の選手にもこれはあてはまる。

周りを見ていない時間、距離を詰められるとミスを誘発する可能性が高くなる。
相手がトラップをミスしてボールをこぼしてしまった時がチャンス。
距離をつめることで、次のプレイを阻害できるし、あわよくばボールを奪うこともできる。

ボールを奪えなくても寄せは無駄にはならない

自分の後ろのディフェンスラインの選手も様々な選択肢を想定しないといけない。

ボールを持った選手にプレッシャーがかかれば、視野が狭まるため、
「裏へのスルーパスが出しにくいだろう」とか、「大きく逆サイドへの展開は難しいだろう」
では「無理やりドリブルで抜いてくるかもしれない。そこをフォローしよう」
など、先を読むのがたやすくなる。
ボランチはディフェンスラインのフィルターとしての役割もあるが、ディフェンダーの行動選択肢を絞ってやることも重要だ。
前述したトラップ際を詰めることは傍からみると、効果がないように見えるが、相手にとって見た目以上のプレッシャーを与えている。
チーム一人一人が一枚岩となり、こつこつとやるのがチームディフェンスというもの。
ボランチはそれを率先してやらなくてはならない。

やみくもに突っ込むのはNG

全力ダッシュで突っ込むのは×

試合中、ボールを持っている相手選手に闘牛のように突進した選手が、マタドールにいなされるかのように華麗にかわされる場面をみたことがあるだろう。
これはあまり上手ではないアプローチだ。
すばやくアプローチをしたほうがボールを奪いやすいと勘違いしている。

なぜ、良くないのか?
当たり前のことだが、スピードが速ければ速いほど自分の体をうまくコントロールできないからだ。

アプローチにとって重要なのは「いつスピードアップするか」である。

良くない寄せ方として、アプローチ対象の相手選手に対し、少しずつスピードをあげていくというのがある。
このやり方だと相手選手にクルッと回られたり、ドリブル方向を変えられたりすると対応できない。

良い寄せは頑張るところを見極める

良い寄せとは最初にスピードアップし相手との距離をつめる。
相手がボールを受けているときには、どっしりと腰をすえて待ち構えることだ。

うまい選手もそうでない選手も運動量は同じ。
だが結果、ボールを奪える選手と奪えない選手とで差がつくのは、頑張るところの見極めだ。

大事なのは良い寄せ方を理解し、実践しているかどうか。
寄せ方がわからないと、やみくもに突っ込み、ボールが奪えず、スタミナだけが減っていく悪循環になる。

同じスタミナを使うなら良い寄せ方で結果を出すのが得だ。